典拠となるところの明示[6]――加速器実験に伴う欺瞞性、 そして、そこより証示
なせもすることについて

関連情報にまつわるカテゴリ(各部クリックにて遷移)

七〇年代の「フィクション」に見る[大出力加速器]や[極微ブラックホール]について

 前頁に至るまでにて、(既に典拠示してきた[事実A]から[事実E]に加えてのものとして)、

[[事実F]から[事実I](と振っての各事実ら)]

が(誰でも異論なくもそうであると裏取りできるとの)[文献的事実]として存在しているがゆえに問題であると申し述べた。


[事実F]

 1974年に初出を見た極めて長きタイトルのSF小説作品として、

Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W (邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』

という作品が存在している。

 同作、1975年、米国の権威あるサイエンス・フィクション分野の賞として認知されているヒューゴ賞 Hugo Awardを(同賞が長編・中長編(ノベラ)・中編(ノベレット)・短編と受賞分野が語数によって分たれている中で)[中編Novelette分野]にて受賞した作品となっている 。
 その小説『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』は作中、
15兆電子ボルトのCEERN(CERNならぬCEERN)の粒子加速器
なるものを登場させている、とのものである。

[事実G]

 上の[事実F]にて挙げた小説『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』は
SF小説大賞ヒューゴ賞を受賞した作品を収めた傑作撰集](英文Wikipediaにて The Hugo Winnersとのその傑作撰集のためだけの項目が設けられているその方面 ―サイエンス・フィクションの分野に志向性ある向き― では著名な傑作選
にて

The Hole Man『ホール・マン』(という1974年初出の作品)

という作品と(原著・和訳版版双方ともに)[連続掲載]されているとの作品となる(:中編分野のヒューゴ賞受賞作品と短編分野のヒューゴ賞受賞作品が連続掲載されるようになっているとの式で(定例化してのかたちで)当該傑作撰体裁が定められているために、である)。

 ここ([事実G]に対する言及部)にて挙げている The Hole Man『ホール・マン』という小説作品は ―同文に文献的事実の問題として―
極微ブラックホールのケージ(容器)より漏れ出しての暴発を描く小説
となっている。

[事実H]

 上の[事実F]と[事実G]の摘示(容易に後追いできるとの該当部引用による摘示)によって

15兆電子ボルトのCEERN(CERNならぬCEERN)の粒子加速器を登場させている小説]([事実F]の言及部にて挙げた小説)
極微ブラックホールの暴発を描く小説]([事実G]の言及部にて挙げた小説)

が著名な米国SF賞を受賞したSF傑作選の中で(そうなるべくも定例化しての当該傑作撰体裁が定められているため)連結させられていると示すことができるようになっているわけであるが、取り上げての小説の間には
[「配置面」([連続掲載]との配置面)以外の連結関係]
が成立しもしている。
 その点、[事実F]に対する言及部に挙げた小説 ( 『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』 ) の主人公は作中、ラリィ「Larry」との愛称(通称)で頻繁に呼称され、その主人公の正式の姓はローレンス(Lawrence)であるとの設定が採用されている。
 他面、[事実G]の言及部にて問題視した小説( 『ホール・マン』 )の作者たるSF作家の愛称(通称)はラリィ「Larry」であり、その正式名称はローレンス(Laurence)であるとのことが存する。

[事実I]

[事実F]の部にてその名を挙げた小説 Adrift Just off the Islets of Langerhans : Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W(邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』は

[欧州の加速器運営機関(CERNならぬCEERNなどと呼称される15TeV加速器を運用する機関)のビーム照射装置でもって[自らを縮退させての極小の分身]をホログラム上に造り出した主人公がそちら分身を己の[「底無しの」「黒々とした」「渦を巻く」へそ]に落とし込み、もって、己の魂に引導を渡させるとの粗筋の作品]

「とも」なっている。


 以上、[事実F]から[事実I]が第三者が容易にそのとおりであると確認できるようになっている[文献的事実][記録的事実]であることをこれ以降の出典紹介部にて示していくこととする。

 その点、まずもって[事実F]の通りであることを示す出典紹介をなしていくことになるのだが、本稿にて出典資料としてそこよりの原文引用をなすこととした文書は

『世界SF大賞傑作選8』 (講談社刊/原題は後にその掲載作品目録につき言及する The Hugo Winners Volume 3) に収録されている Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W (邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』小説「本編」そのもの

となる(※表記引用元小説の粗筋はここでは問題にしていないのが(問題となるのは同作の中の[奇態なる予見的言及]である)、一応、同小説の粗筋についての説明も下に付しておく)。

粗筋にまつわる付記として

 これより原文引用をなすことになるとの70年代小説、
Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W (邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』
との小説の粗筋・内容であるが、同作、

[[不死ゆえの苦しみ]から解放されたいとの男(作中、狼男と臭わされるラリィと名付けられてのキャラクター)が死を得るために自身の魂の座標の特定に励む.そして、研究機関を管轄する自身の友人(ヴィクトル・フランケンシュタイン)の助力でその魂の座標に到達する挙に出、宿願・本懐を遂げようとする]

との内容の作品となっている ――本稿本段執筆時の現行2014年前半期時点にて英文Wikipedia[ Adrift Just Off the Islets of Langerhans ]項目のSynopsis(粗筋)の部にて Larry Talbot wants to die, but cannot unless he first knows the exact physical location of his soul. To this end, he tracks down Victor Frankenstein, who sends him on a fantastic voyage.(訳として)「ラリー・タルボットは(訳注:作中、同タルボットが不死の狼男の眷族であることが臭わされるなかで)死を得たいと欲していたのだが、それは彼が自身の魂の正確な物理的座標を知らなければ、適わぬことであった。この目標(魂の座標を特定し自身に死をもたらすとの目標)に向けて、彼はヴィクター・フランケンシュタイン、ロレンス・タルボットを幻想的な冒険へといざなうことになる同人物を訪ね同人物に頼ることになる」(訳を付しての引用はここまでとする)と記載されているところがそちら粗筋にまつわる表記となる―― 。
 といった粗筋は ――いちいちもって申し述べるまでもないことだが―― 好意的に解せば、「幻想的なもの」、悪くも解せば、「意味不明瞭なるもの」だが、といったフィクションのフィクションとしての筋立て自体を([主観・心証・印象]という曖昧模糊とした領域を扱う[評論家]なぞとの人種を気取って)ここにて問題視しているわけではない)


| 出典(Source)紹介の部6 |

 ここ出典(Source)紹介の部6では上にても表記の[事実F]にまつわるところとして講談社より出されている版の、
Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W(邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』(かつて紙媒体で流通を見ていたものの現在は図書館で借りる/古本を取得するというのが内容確認のために要されるとの絶版傑作選に収録のもの)
より ―法的に問題となる余地が一切ないと判断した文量での― 原文引用をなすこととする。

 それでは下に

[事実F]

 1974年に初出を見た極めて長きタイトルのSF小説作品として、

Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W (邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』

という作品が存在している。

 同作、1975年、米国の権威あるサイエンス・フィクション分野の賞として認知されているヒューゴ賞 Hugo Awardを(同賞が長編・中長編(ノベラ)・中編(ノベレット)・短編と受賞分野が語数によって分たれている中で)[中編Novelette分野]にて受賞した作品となっている 。
 その小説『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』は作中、
15兆電子ボルトのCEERN(CERNならぬCEERN)の粒子加速器
なるものを登場させている、とのものである。

とのことが[記録的事実][文献的事実]であることを示すに足る分だけの引用をなすこととする。

(直下、日本国内で刊行された『世界SF大賞傑作選8』内『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』掲載部(p220-p221の境目の部)よりの原文引用をなすとして)

「おれが見た限りでは、粒子加速器のようだったな。それも、ジュネーブにあるCERNの陽子シンクロトロンと同じくらい大きい」
 ヴィクトルは感心したようすだった。「なかなか読んでるね」
「当然さ」
「そうか、そうか。では今度は、きみを驚かせよう。CERNの加速器が出せるエネルギーは三十三ビリオン(十億)電子ボルトまでだ。この部屋の下にあるリングは、十五テラ電子ボルトまで出る」
「テラは兆」
「よく勉強したものだな!十五兆電子ボルトだ。何もかもお見通しじゃないか、え、ラリィ?
「一つわからないことがある」
ヴィクトルは返事を待っている。
「できるのか?」
「うん。気象報告によると、台風の目がこの真上を通りすぎてゆくところらしい。一時間たっぷりある。実験の危険な部分を片づけるには充分以上の時間だ」
「だが、とにかくできるわけだな?」
「できるさ、ラリィ、同じことを二度もいわせないでくれ」

(ここまでをもって「まずもってしての」邦訳版よりの一部引用とする)

(さらに続けて直下、上の訳書よりの引用部と対応する原著 Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13Wにての表記をも「オンライン上より確認できるところとして」引用なすとして)

“From what I could see,” Talbot said,“that looked to be a particle accelerator. And it looked as big as CERN's proton synchrotron in Geneva.”
Victor was impressed. “You've been doing some reading.”
"It behooved me."
“Well, well. Let's see if I can impress you. CERN's accelerator reaches energies up to 33 BeV; the ring underneath this room reaches energies of 15 GeV.”
“Giga meaning trillion.”
“You have been reading up, haven't you! Fifteen trillion electron volts. There's simply no keeping secrets from you, is there, Larry?
“Only one.”
Victor waited expectantly.
“Can you do it?”
“Yes, Meteorology says the eye is almost passing over us. We'll have better than an hour, more than enough time for the dangerous parts of the experiment.”
“But you can do it.”
“Yes, Larry. I don't like having to say it twice.”

(原著表記よりの引用はここまでとする)

(上にての原著よりの引用部についてであるが、「であるから原著よりの引用をわざわざなしている」ところとして、表記英文テキストをグーグル検索エンジン上にて検索いただければ、「現行(本稿執筆時現時点)にては、」問題となる原著該当箇所を「オンライン上にて」特定できるようになっている ―― Internet Archiveのサイトにて現行は公開されている、The Magazine of fantasy and science fiction( Adrift Just off the Islets of Langerhans : Latitude 38°54'N, Longitude77°00'13Wがそのリリース時、同誌にて収録されていたとの雑誌『ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション』誌)の問題となる号の裏取りできる内容を通じて検索エンジンから特定できるようになっている―― 。
 尚、上にての(訳書ではなく原著の方の)引用部については
Fifteen trillion electron volts[15兆電子ボルト]
を[TeV]と表さずに[GeV]と表してのmistake(誤り)ととれるところもあるが、その点についてはすぐ後の段にても解説する)

(さらに続けて直下、日本国内で刊行された『世界SF大賞傑作選8』のp.222-p.223 、『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』掲載部よりの原文引用をなすとして)

 東欧ブロックのCEERN ―― Conseil de l`Europe de l'Est pour la Recherche Nucleaire(東ヨーロッパ合同原子核研究機関)―― が、(ルーマニアのクルジュ、ハンガリーのブダペスト、ポーランドのグダニスクなど、もっと人情味があって、ふさわしい土地があったにもかかわらず)ビエレ・カルパチ山脈のこの人里はなれた高地を選ばざるを得なかったのは、タルボットの友人ヴィクトルがこの地を指定したからである。CERNは、ダール、ヴィドレー、ゴワード、アダムズ、ライヒをこれまで抱え、CEERNにはヴィクトルがいた。それでバランスはとれていた。ヴィクトルは自由に采配を振ることができた
 こうして難工事の末、彼の要求通りの研究所が完成し、その粒子加速器はCERNの装置を圧倒した。それは、イリノイ州バタヴィアにおかれた、フェルミ国立加速器研究所の四マイルのドーナツをも圧倒するものだった。それは事実、世界最大にして最高の"シンクロファゾトロン″であった。
 地下研究所で行われる実験のうち、CEERNの提唱になるプロジェクトは、七〇パーセントにすぎなかった。研究スタッフの百パーセントは、ヴィクトルと個人的につながっていた。CEERNでも東欧ブロックでもなければ、哲学やドグマでもない・・・・・・ヴィクトルその人への忠誠である。したがって、直径一六マイルのドーナツ型加速器で行われる実験の三〇パーセントは、ヴィクトル自身のものだった

(ここまでをもって問題となる一パートの訳書よりの引用部とする)

(さらに続けて直下、上の訳書よりの引用部と対応する原著 Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13Wにての表記をも「オンライン上より確認できるところとして」引用なすとして)

The Eastern Bloc's CEERN ― Conseil de l`Europe de l'Est pour la Recherche Nucleaire― had been forced into selecting this isolated location high in the White Carpathians (over such likelier and more hospitable sites as Cluj in Rumania, Budapest in Hungary and Gdansk in Poland) because Talbot's friend Victor had selected this site. CERN had had Dahl and Wideroe and Goward and Adams and Reich; CEERN had Victor. It balanced . He could call the tune.
So the laboratory had been painstakingly built to his specifications, and the particle accelerator drawfed the CERN Machine. It dwarfed the four-mile ring at the National Accelerator Lab in Batavia, Illinois. It was, in fact, the world's largest, most advanced “synchrophasotron.”
Only seventy per cent of the experiments conducted in the underground laboratory were devoted to projects sponsored by CEERN. One hundred per cent of the staff of Victor's complex were personally committed to him, not to CEERN, not to the Eastern Bloc, not to philosophies or dogmas ... to the man. So thirty per cent of the experiments run on the sixteen-mile-diameter accelerator ring were Victor’s own.

(原著表記よりの引用はここまでとする ――表記英文テキストを検索エンジン上にて検索いただければ、現行、問題となる箇所を(オンライン上にて)特定できるようになっているとの部よりの引用とした―― )

 ここまでの訳書・原著よりの原文引用部でもってして

[事実F]

 1974年に初出を見た極めて長きタイトルのSF小説作品として、

Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W (邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』

という作品が存在している。

 同作、1975年、米国の権威あるサイエンス・フィクション分野の賞として認知されているヒューゴ賞 Hugo Awardを(同賞が長編・中長編(ノベラ)・中編(ノベレット)・短編と受賞分野が語数によって分たれている中で)[中編Novelette分野]にて受賞した作品となっている 。
 その小説『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』は作中、
15兆電子ボルトのCEERN(CERNならぬCEERN)の粒子加速器
なるものを登場させている、とのものである。

とのことが裏取り容易なる Philological Truth[文献的事実]([「誰が見ても」惑うことはない]との筋目・筋合いの事実であり、(この段階では「仮に」付きで)そこに[「誰が見ても」明らかなる危機的状況]や[対象を嗜虐的に殺めようとするいった類の詐害意志の片鱗]が露骨にみとめられる場合に実体を検証しようとしない種族・集団・個人には明日を語る資格もなかろうとの性質の事実)であることを ――「オンライン上よりの手間かけずにもの検索行為で容易に後追いできる」との式にて―― 指し示したことになる(※)。


[補足として]

※1
 邦訳版については問題となる作品を掲載している表記の撰集を書籍を図書館で借りるなりして下線を付した箇所だけを読まれるだけで[事実F]の通りのことが「主観など一切問題にならないところで」具現化を見ていること、確認なせるようになっている。といった中でのこととして[原著](現行はオンライン上より全文確認なせるとのもの)と上にて原文引用をなした[邦訳版]の間には微妙なる相違点が一箇所だけあり、ここではその点についての補足をなしておく。

 さて、上にて引用なしたところの、

CERNの加速器が出せるエネルギーは三十三ビリオン(十億)電子ボルトまでだ。この部屋の下にあるリングは、十五テラ電子ボルトまで出る
テラは兆
よく勉強したものだな!十五兆電子ボルトだ。何もかもお見通しじゃないか、え、ラリィ?

との訳書にての表記に対応するところで原著の方では[科学的知識にまつわるところでの「誤」表記]がなされている。

 それにつき、上の部にあっての原著( Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13W )での表記は

Well, well. Let's see if I can impress you. CERN's accelerator reaches energies up to 33 BeV; the ring underneath this room reaches energies of 15 GeV.”
Giga meaning trillion.”
“You have been reading up, haven't you! Fifteen trillion electron volts. There's simply no keeping secrets from you, is there, Larry?”

 上にて再度の引用をなした原著英文表記は訳せば、

(誤記がなされている原著内容をそのまま和訳するとして)

「CERNの加速器は33BeVを超えるエネルギー規模まで達している。この部屋の下にあるリングについては15GeVまでのエネルギーが出せるようになっている」
「(GeVの先頭のGが意味するところの)ギガは兆を意味している
よくも読んで学んできたものじゃないか!15兆電子ボルトだよ

とあいなる。

 そうもして訳せる小説作者(ハーラン・エリスンという作家)の手になる原著表記は
「明らかな」誤表記](mistake
をなしているとのものである。
[ビリオン・エレクトロン・ボルト]の略称となるBeV(ベブ)が「10億電子ボルト」を意味すると表記されているのは良いとして、小説作中にて「兆単位の電子ボルト」と表記されているGeV(ジェブ)もまた同様に「10億電子ボルト」を意味するというのが[科学にあっての基本的定義]となっているにも関わらずそれを「兆単位のもの」としてしまっているとのことがみとめられるのである。
 については汎ミスの問題であるともとれるが(ハーラン・エリスンという問題となる小説の作者が「(Gが意味するところの)ギガは兆単位を意味している」などと[本来は10億単位(billion)を指すもの](GeV/ギガ・エレクトロン・ボルト)につき[誤記](mistake)をなしているのはケアレス・ミスともとれるが)、また、一九七八年に世に出た[邦訳版]の方では原著誤表記に対する訳者の心遣いからであろう、兆電子ボルトはTeV、テラエレクトロンボルト表記に直されて記されてはいるのだが、とにかくも、「原著の方には」誤記があること、(重要なことであると判じているために)指摘なしておいた

 さらに述べておけば、作家ハーラン・エリスンが誤記が認められないところで

[15「兆」電子ボルトのCEERNの粒子加速器](文中にあるように Fifteen trillion electron voltsの(CERNならぬ)CEERN加速器)

なるものを持ち出していることも文献的事実となっている(からここでの話が問題になる)。

 以上、一応、[補足]なしておきたきことの第一点目としておく。

※2
 基本的なことであるゆえに「要らぬことか」とも思うのであるが、オンライン上よりの「手間をかけずに」の該当部確認方法についての補足をもさらにもってなしておく。

(先にも言及なしたことだが)諸種、過去に刊行・上映されたコンテンツを公開しているとの Internet Archiveのサイト(サンフランシスコの非営利財団が運営しているとの形態でのサイト)にあって

小説 Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13Wがそのリリース期、同誌にて収録されていたとの雑誌たる The Magazine of fantasy and science fiction(『ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション』誌)

の問題となる号の内容が現行、全文掲載されている、それがゆえに、そこにて収録されている Adrift Just off the Islets of Langerhans:Latitude 38°54'N,Longitude77°00'13Wの原著版内容「をも」(オンライン上より誰でも)全文確認なせるようになっている ――グーグル検索エンジン上に上の抜粋原著英文文章より何語か抜き出しての入力をなしての検索をなすことで問題となる Internet Archiveのサイトを同定できる(:ただしもって該当頁の元となるページが削除されている場合か(もしかしたらばでありうることかとは思う)、グーグル検索エンジン上で(相応の力学の介在などがあって)当該ページが表示されないようになっていたらば話が異なるが、といったケースはここでは敢えて無視する)―― 。

 そうした現行ありようについて紹介したうえで
即時の文言特定方式
について紹介しておく。

 問題となる雑誌の全文掲載をなしているとのページ(紙面の英文テキストをOCRでデジタル認識してテキストデータに変換したのであろうと解される大量の英文テキストがHTML形式で記載されているとの Internet Archiveのページ)をGoogle検索エンジンにて「引用部から数語抜き出しての」検索 ――たとえば、[ Adrift Just off the Islets of Langerhans ]と[ Fifteen trillion electron volts ]などをキーワード(クエリ)とするとのかたちで検索―― なして捕捉したうえでそちらウェブページの閲覧時に(パソコンの基本的操作の問題として)キーボードのCtrlキーとFキーを同時押しする(ことが情報の即時の確認手段として意味をなす)。
 すると、そう、キーボードのCtrlキーとFキーを同時押しなすと[ブラウザ](インターネット閲覧ソフト)の閲覧ページ文言検索機能がオンの状態に切り替わる。その際にインターネット閲覧ソフトの上部ないしは下部に表示されてくる文字入力ボックス内に表記の抜粋テキストの一部(たとえば、trillionであるといった一語でもいい)を入力すれば、
膨大な文量を含むページ内の[該当文字列]を含む箇所に一挙にジャンプ
できる
 以上やりようでもって引用部が[文献的事実]であるとのこと、すぐに確認できるようになっている ――上はネット上で効率的に情報収集をするうえでの基礎となるやりようについての話とはなるが、ネット上での調べものに慣れていないとの向きのための一応の案内とした―― )

[補足はここまでとしておく]


(長くもなったが、[事実F]が文献的事実であることを指し示すべくも設けた出典(Source)紹介の部6はこれにて終える)



| 出典(Source)紹介の部7 |

 次いで

[事実G]

 上の[事実F]にて挙げた小説『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』は
SF小説大賞ヒューゴ賞を受賞した作品を収めた傑作撰集](英文Wikipediaにて The Hugo Winnersとのその傑作撰集のためだけの項目が設けられているその方面 ―サイエンス・フィクションの分野に志向性ある向き― では著名な傑作選
にて

The Hole Man『ホール・マン』(という1974年初出の作品)

という作品と(原著・和訳版版双方ともに)[連続掲載]されているとの作品となる(:中編分野のヒューゴ賞受賞作品と短編分野のヒューゴ賞受賞作品が連続掲載されるようになっているとの式で(定例化してのかたちで)当該傑作撰体裁が定められているために、である)。

 ここ([事実G]に対する言及部)にて挙げている The Hole Man『ホール・マン』という小説作品は ―同文に文献的事実の問題として―
極微ブラックホールのケージ(容器)より漏れ出しての暴発を描く小説
となっている。

とのことが事実であることを示す出典を挙げておく。

 その点、ここ出典(Source)紹介の部7では


著名傑作選にまつわる英文ウィキペディア[ The Hugo Winners ]の(概説がなされている)解説項目
および
英文ウィキペディア[ The Hole Man ]の(概説がなされている)解説項目
および
『世界SF大賞傑作選8』(講談社刊/原題は The Hugo Winners Volume 3)に収録されている The Hole Man(邦題)『ホール・マン』掲載部内容
および
The Hole Man原著英語文言


を出典資料として挙げておく。

 それでは以下、基本的なるところとしてそこよりの引用からなしはじめるが、現行、
ウィキペディア[ The Hugo Winners ]項目には現行、以下の通りの記載がなされている。

(直下、英文Wikipedia[ The Hugo Winners ]解説項目よりの引用をなすとして)

The Hugo Winners was a series of books which collected science fiction and fantasy stories that won a Hugo Award for Short Story, Novelette or Novella at the World Science Fiction Convention between 1955 and 1982. Each volume was edited by Isaac Asimov, who wrote the introduction and a short essay about each author featured in the book.

(訳として)「書籍[ヒューゴ・ウィナーズ]とは[1955年から1982年の間にての世界サイエンス・フィクション・コンベンション(国内でもその方面の趣味人・好事家らにワールドコンとして認知されているとのSF大会)にてノミネートされた短編・中編・中長編・長編のヒューゴ賞を受賞したサイエンス・フィクション作品およびファンタジー作品を収録しているシリーズ化した書籍]のことを指す。それぞれの巻は同書にて呼び物となっている著作らにつき紹介と寸評を加えていたアイザック・アシモフにて編集されていた(との体裁をとっていた)」

(訳を付しての引用部はここまでとする)

 同じくもの英文Wikipedia[ The Hugo Winners ]項目にてはその収録作品目録も掲載されており、 Volume 3と付された部にて(第三十三回目の一九七五年メルンボルンにての世界SF大賞受賞作品として)次の作品らが掲載されている。

(続けもして直下、上と同じくもの英文Wikipedia[ The Hugo Winners ]解説項目にあっての[書誌情報]についての記載よりの引用をなすとして)

1975: 33rd Convention, Melbourne
13--A Song for Lya by George R. R. Martin (novella)
14--Adrift Just Off the Islets of Langerhans: Latitude 38° 54' N, Longitude 77° 00' 13" W by Harlan Ellison (novelette)
15--The Hole Man by Larry Niven (short story)

1975年第33回メルボルン大会
(13)R.R.マーティン著『ライアへの賛歌』(中長編分野受賞作品)
(14)ハーラン・エリスン著『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』(中編分野受賞作品
(15)ラリー・ニーヴン著『ホール・マン』」

(訳を付しての引用部はここまでとする ―※― )

(※尚、 The Hugo Winners Volume 3については ―原著を直に手に取らなくとも同じくもの英文Wikipediaのチェックにて― 理解いただけるであろうところとして
[1970年から1975年にかけてのヒューゴ賞受賞作品]
として計15作品を収録した撰集となっている。
 ここにて問題視しているのはその計15作品のうちの1975年にあってのヒューゴ賞受賞作品ら、14番目の掲載作品(1974年初出)と15番目の掲載作品(1974年初出)の関係性となるそれにつき補足しておくべきととらえることとして、国内で邦訳を見ている The Hugo Winners Volume 3の邦題『世界SF大賞傑作選8』(講談社刊)は ―原著をより細かくも分冊化して邦訳刊行しているとのものである関係上― 巻数と同様、掲載作品の数にも違いがあるとのものとなっている(ただし、問題となる作品のアイザック・アシモフ・コメントを挟んでの連続掲載に異動はない))

 上もてサイエンス・フィクション分野にあって著名な賞の受賞態様上、特定傑作選にて
Adrift Just Off the Islets of Langerhans: Latitude 38° 54' N, Longitude 77° 00' 13" W『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』(先の[事実F]の出典紹介部 ―[出典(Source)紹介の部6]― にて[CEERNの15兆電子ボルト加速器]というものを登場させている作品であることを示した小説)
および
The Hole Man『ホール・マン』
との作品が連結掲載されていることを理解いただけたか、と思うのだが、次いで、
『ホール・マン』
という作品が
[極微ブラックホールのケージ(容器)より漏れ出しての暴発を描く小説]
であることを指し示すこととする。

 それについてはまずもってウィキペディア程度の媒体からの引用をなすこととする(そのうえで細かくもの訳書・原著よりの引用をなす)。

(直下、英文Wikipedia[ The Hole Man ]解説項目にあっての現行の記載を引用するとして)

"The Hole Man" is a short story by American writer Larry Niven. It won the Hugo Award for Best Short Story in 1975.
[ . . . ]
One scientist believes that at the center of the device is a tiny black hole, but his superior does not believe him. During a heated argument with his superior, the scientist turns off the containment field, releasing the black hole.

(訳として)
『ホール・マン』は米国人作家ラリー・ニーヴンによる短編小説である。同作は1975年、ヒューゴ賞短編賞を受賞している。
・・・(中略)・・・
(同作のあらすじとしては)その上役は信じていないことだったが、ある科学者が(火星での異星人遺構にて発見された)装置の中枢に極微ブラックホールが収納されていると信じていた(との粗筋が展開する)。上役との議論が加熱して煮詰まっての折、同科学者はその装置の防護壁を無効化、ブラックホールを開放してしまうことになる

(訳を付しての引用部はここまでとする)

 以上の通りの内容が見てとれることを示す該当文物それ自体よりの引用をなしておくこととする。

(直下、日本国内で刊行された『世界SF大賞傑作選8』のp.262ーp.263 、『ホール・マン』掲載部よりの中略なしながらもの掻い摘まんでの引用をなすとして)

彼は重力波通信機を蔽っている防護パネルをはずし終えたところだった。中から現れたものは、ある点ではコンピューターの一部のようにみえるが、だいたいのところは電磁コイルによく似ており、異星人のタイプライターとおぼしいボタンの四角い列があった。リアは電磁誘導センサーを使って、絶縁をはがさずに配線をたどろうとしていた。
・・・(中略)・・・
リア、あんたはその中に、量子ブラックホールがあるっていったね。量子ブラックホールって何だい?
・・・(中略)・・・
「縮潰した恒星はブラックホールを残す」とリア。「銀河系全体が縮潰すれば、もっと大きなブラックホールができるだろう。だが、現在では、ブラックホールのできかたは、これだけしかない」
「というと?」

(ここまでをもって問題となる一パートの訳書よりの引用部とする)

(続けて直下、上にて訳書表記を引いたところの原著表記の方の引用をなすとして)

He'd almost finished dismantling the protective panels around the gravity wave communicator. What showed inside looked like parts of a computer in one spot, electromagnetic coils in most places, and a square array of pushbuttons that might have been the aliens' idea of a typewriter.
[ . . . ]
"Lear, you mentioned quantum black holes back there. What's a quantum black hole?"
[ . . . ]
"A collapsing star can leave a black hole," said Lear. "There may be bigger black holes, whole galaxies that have fallen into themselves. But there's no other way a black hole can form, now."
"So?"

(ここまでをもって問題となる一パートの原著よりの引用部とする)

(直下、日本国内で刊行された『世界SF大賞傑作選8』のp.264ーp.265 、『ホール・マン』掲載部より中略なしながらも掻い摘まんでの引用をなすとして)

「ある時期には、あらゆるサイズのブラックホールが形成され得たことがあるんだ。膨張宇宙がはじまる『大爆誕(ビッグ・バン)』のときさ、その爆発の力で、局所的な物質の小さな渦が、シュワルツシルド半径をこえて圧縮された。そこでできたもの ――とにかく、中でもとくに小さいやつ―― を、量子ブラックホールというんだ」
・・・(中略)・・・
「そいつの大きさはどのくらいなんだ?つまみあげて、あんたに投げつけられるくらいかね?」
「あんたのほうがのみこまれちまうだろうよ」ときびしい口調で、リアは答えた。
地球ほどの質量をもったブラックホールは、さしわたし一センチかそこらだ。いや、いま話していたのは、十のマイナス五乗センチメートルくらいからのやつさ。太陽の中にも、ひとつくらいあるかも――
・・・(中略)・・・
「そう、質量十の十七乗グラム、直径十のマイナス十一乗センチくらいかな。それだと、一日に数個の原子をのみこむことになる」
・・・(中略)・・・
「小惑星の内部にも、量子ブラックホールがあるかもしれん。小型の小惑星でも、とくに量子ブラックホールが帯電していれば、容易にとらえることができる。ごぞんじのとおり、ブラックホールは、電気を帯びる場合が―― 」
・・・(中略)・・・
「もし帯電していなかった帯電させて、電磁場で操作するんだ。振動させれば重力放射をつくりだせる。この中にも、ひとつあるはずなんだ」異星人の通信機をたたいてみせながら、彼はいった。
・・・(中略)・・・
一週間のうちに、基地の全員が、リアのことを「ホール・マン」とよぶようになった。頭の中にブラックホールのある「穴男(ホール・マン)」というわけだ

(ここまでをもって問題となる一パートの訳書よりの引用部とする)

(続けて直下、上にて訳書表記を引いたところの原著表記の方の引用をなすとして)

There was a time when black holes of all sizes could form. That was during the Big Bang, the explosion that started the expanding universe. The forces in that blast could have compressed little local vortices of matter past the Swarzschild radius. What that left behind -- the smallest ones, anyway -- we call quantum black holes.
[ . . . ]
He called, "Just how big a thing are you talking about? Could I pick one up and throw it at you?"
"You'd disappear into one that size," Lear said seriously. "A black hole the mass of the Earth would only be a centimeter across. No, I'm talking about things from 10-5 grams on up. There could be one at the center of the Sun -- "
[ . . . ]
"Say, 1017 grams in mass and 10-11 centimeters across. It would be swallowing a few atoms a day."
[ . . . ]
"There could be quantum black holes in asteroids. A small asteroid could capture a quantum black hole easily enough, especially if it was charged; a black hole can hold a charge, you know -- "
[ . . . ]
"You put a charge on it, if it hasn't got one already, and then you manipulate it with electromagnetic fields. You can vibrate it to make gravity radiation. I think I've got one in here," he said, patting the alien communicator.
[ . . . ]
Within a week the whole base was referring to Lear as " the Hole Man," the man with the black hole between his ears.

(ここまでをもって問題となる一パートの原著よりの引用部とする)

(※補足:筆者自身にも過てる予断を一時期惹起させたところてして上にあっては「地球ほどの質量をもったブラックホールは、さしわたし一センチかそこらだ。いや、いま話していたのは、十のマイナス五乗センチメートルくらいからのやつさ。太陽の中にも、ひとつくらいあるかも―― 」 A black hole the mass of the Earth would only be a centimeter across. No, I'm talking about things from 10-5 grams on up. There could be one at the center of the Sunとの表記がなされている。が、についてはさしわたし(「直径」centimeter across)ではなく地球は「半径」0.9cm以下に圧縮する(シュヴァルツシルト「半径」Radiusが0.9センチとなる質量の天体として「半径」0.9cm以下に圧縮する)とブラックホールになるとのところがより正確な表現であるようである ――地球をブラックホールにするとどれくらいのブラックホールになると想定されるか、とのことについての言われようの紹介は後の段にてもなす―― )

(直下、日本国内で流通の『世界SF大賞傑作選8』のp.270-p.271、『ホール・マン』掲載部よりの中略なしながらもの掻い摘まんでの引用をなすとして)

「ぼくのミスだ」査問が開かれたとき、リアは語った。「あのボタンにふれちゃいけなかったんだ。あれで、質点をささえている場のスイッチが切れたのにちがいない。で、それは落下した。その下に、チルドレイ船長がいたというわけだ」
・・・(中略)・・・
「いや。正確にはそうじゃない」とリア。「ぼくの推測だが、あの質量は十の十四乗グラムくらいだ。とすると、直径は、十のマイナス六乗オングストローム、原子よりずっと小さい。吸収はたいしたことはない。チルドレイを殺したのは、その質量が通りぬけたときの潮汐作用なんだ。床の物質が粉になって穴につまっていたね」
リアは肩をすくめ、首をふった。「何による殺人だい?あの中にブラックホールがあるなんて、チルドレイは信じてもいなかった。あんたたちも、似たようなもんだ」唐突に、にやりと笑った。「裁判がどんなものになるか、考えてみろよ。検事が陪審団に、ことの次第に関する自分の考えを説明するところを想像するんだ。それにはまず、ブラックホールについて話さなきゃならない。つぎに量子ブラックホール。それから、兇器が発見できない理由、それが火星の中をつきぬけて動きまわっていることを、説明しなくちゃならないんだぜ!そこへいくまでに、笑いとばされて法廷からおん出されずにすんだとしても、その上さらに、原子よりも小さなそんなものがどうして人を殺せるのかということを、説明しなくちゃならないんだ!
・・・(中略)・・・
 それでおしまいだった。裁判が成立するみこみはない。並みの裁判官や陪審団に、検事側の話を理解させることなど、できっこないからだ。このまま明るみに出ずに終わる事実も、二、三あることだろう

(ここまででもって問題となる一パートの訳書よりの引用部とする)

(続けて直下、上にて訳書表記を引いたところの原著表記の方の引用をなすとして)

"I made a mistake," Lear told the rest of us at the inquest. "I should never have touched that particular button. It must have switched off the fields that held the mass in place. It just dropped. Captain Childrey was underneath."
[ . . . ]
"No, not quite," said Lear. "I'd guess it massed about 1014 grams. That only makes it 10-6 Angstrom across, much smaller than an atom. It wouldn't have absorbed much. The damage was done to Childrey by tidal effects as it passed through him. You saw how it pulverized the material of the floor."
Lear shrugged it off. "Murder with what? Childrey didn't believe there was a black hole in there at all. Neither did many of you." He smiled suddenly. "Can you imagine what the trial would be like? Imagine the prosecuting attorney trying to tell a jury what he thinks happened. First he's got to tell them what a black hole is. Then a quantum black hole. Then he's got to explain why he doesn't have the murder weapon, and where he left it, freely falling through Mars! And if he gets that far without being laughed out of court, he's still got to explain how a thing smaller than an atom could hurt anyone!"
[ . . . ]
Obviously there would be no trial. No ordinary judge or jury could be expected to understand what the attorneys would be talking about. A couple of things never did get mentioned.

(ここまでをもって問題となる一パートの原著よりの引用部とする)

(直下、日本国内で刊行された『世界SF大賞傑作選8』のp.272ーp.273 、『ホール・マン』掲載部よりの中略なしながらもの掻い摘まんでの引用をなすとして)

 いま、ブラックホールは、もうあの中にはない。通信機の質量を測ればブラックホールの質量が得られる」
「ああそうか」
「それから、あの機械を切りひらけば、中がどうなってるかがわかる。どうやって操作したのかもね。ちぇっ、ぼくがいま六つの子供だったらなあ」
「え?どうして?」
いや・・・・・・おしまいまで見とどけたいんだよ。数字など、あてにはならん。数年後か、数世紀後かわからないが、地球と木星のあいだにブラックホールができる。こいつは大きいから研究は容易だ。まあ、あと四〇年といったところか
 そのことばの意味に気づいたとき、ぼくは笑ったらいいのか叫んだらいいのかわからなかった。
・・・(中略)・・・
食えば食うほど大きくなり、体積は質量の三乗に比例してふえる。おそかれ早かれ、あいつは火星をのみこんでしまうんだ。そのときには、直径一ミリメートル弱ぐらいに成長しているだろう。肉眼でみえるくらいの大きさだ

(ここまででもって問題となる一パートの訳書よりの引用部とする)

(続けて直下、上にて訳書表記を引いたところの原著表記の方の引用をなすとして)

Now the black hole isn't in there anymore.I can get the mass of the black hole by taking the mass of the communicator alone."
"Oh."
"And I can cut the machine open, see what's inside. How they controlled it. Damn it, I wish I were six years old."
"What? Why?"
"Well ... I don't have the times straightened out. The math is chancy. Either a few years from now, or a few centuries, there's going to be a black hole between Earth and Jupiter. It'll be big enough to study. I think about forty years."
When I realized what he was implying, I didn't know whether to laugh or scream.
[ . . . ]
"Well, remember that it absorbs everything it comes near. A nucleus here, an electron there ... and it's not just waiting for atoms to fall into it. Its gravity is ferocious, and it's falling back and forth through the center of the planet, sweeping up matter. The more it eats, the bigger it gets, with its volume going up as the cube of the mass. Sooner or later, yes, it'll absorb Mars. By then it'll be just less than a millimeter across. Big enough to see."

(ここまでをもって問題となる一パートの原著よりの引用部とする)

 これにて問題となる小説が
極微ブラックホールのケージ(容器)より漏れ出しての暴発を描く小説
であることを ―原著および訳書よりの(中略しながら掻い摘まんでの)原文引用を通じて― 指し示した。

([事実G] ――小説『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』と賞の受賞態様および傑作撰体裁からなるべくもして連続掲載されているとの『ホール・マン』という小説作品が[極微ブラックホール暴発を描く小説]となっているとのこと―― が文献的事実であることを指し示すべくも設けた出典(Source)紹介の部7はここまでとする)


 これ以降にては[事実H]が[記録的事実]としてはきとそこに実在していることを示すための出典(Source)紹介の部8に入るが、それに先駆け、ページはここで改めることとする。

 前のページへ〔PREVIOUS PAGE〕     次のページへ〔NEXT PAGE〕


直下、本稿冒頭部へのリンクを設けておく

(⇒冒頭頁へは下の部より)

[典拠紹介部第1頁 加速器実験に伴う欺瞞性から証示なせることについて]

 上にて挙げているのはドイツ浪漫主義芸術の巨匠たる18世紀画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(Freemasonでもあったとの画家 Caspar David Friedrich)の手になる一品、

Der Wanderer uber dem Nebelmeer雲海の上の旅人』(に多少の[動き]をアレンジとして加えたもの)

となる。

 言われようの問題として一般に、

[人間の崇高なる精神が高みを目指し、ついぞ多くの物事を達観するに至った時、その折の孤独と感慨を描いた画]

などと形容される上掲の『雲海の上の旅人』に関して(本稿でもその言行を順次・段階的に取り上げることになるとの)物理学者リサ・ランドールは[次のような申しよう]をなしている。


(直下、物理学者リサ・ランドールの手になる著作 Knocking on Heaven’s Door『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)にての CHAPTER THREE LIVING IN A MATERIAL WORLD[第三章 物質世界に生きる]の章の記述内容 ――オンライン上検索エンジンにあっての原文検索にて該当部特定できるところの記述内容―― よりの原文引用をなすとして)

Our universe is in many respects sublime. It prompts wonder but can be daunting ―even frightening― in its complexity.  Nonetheless, the components fit together in marvelous ways. Art,science, and religion all aim to channel people’s curiosity and enlighten us by pushing the frontiers of our understanding. They promise, in their different ways, to help transcend the narrow confines of individual experience and allow us to enter into―and comprehend―the realm of the sublime. (See Figure 11.)
          [ . . . ]
[ FIGURE 11 ] Caspar David Friedrich’s Wanderer Above the Sea of Fog (1818), an iconic painting of the sublime ― a recurring theme in art and music.

(上の原著引用部に対する[訳文]として国内流通訳書『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)ハードカヴァー版にあっての81ページに記載されているところを引くとして)

多くの点で、私たちの宇宙は崇高だ。その複雑さは好奇心を駆り立てはするが、無力感も抱かせるし、ことによっては恐怖さえも感じさせる。にもかかわらず、宇宙の構成要素は素晴らしくぴたりと絡みあっている。芸術、科学、宗教は、いずれも人々の好奇心を促して、理解の限界を広げさせ、それによって私たちを啓蒙することを目指している。いずれもそれぞれのやり方で、個人の経験の狭い領域を越えさせることを約束している。それがかなえられたとき、私たちは崇高なものの領域に踏み込む――そして理解する――ことができるのだ(図11を参照)。 …(中略)… [図11]ドイツの画家カスパー・ダーヴィド・フリードリヒの「雲海の上の旅人」は、崇高なものを象徴的に描いた作品だ。崇高さは、美術と音楽に繰り返し登場するテーマである

(以上をもって Knocking on Heaven’s Doorにての原著表記および訳書よりの引用とした)


 さて、何故、ここ脇に逸れての部にあって「目立つように」特定絵画 ― 『雲海の上の旅人』― を挙げ、その絵画に対する物理学者の評しよう ―「雲海の上の旅人」は、崇高なものを象徴的に描いた作品だ....― などを引いたりもしたのか

「それは、」
絵画『雲海の上の旅人』に対して直上引用なしたような評しようをなしているとの物理学者リサ・ランドールが

加速器によるブラックホール生成可能性にまつわるトピックの理論深化に一廉ならぬ貢献をなしているとの著名物理学者

[[崇高なるもの]を目指しての宇宙の探求(およびそのための装置と銘打たれている巨大加速器LHC)の称揚・礼讃をなしているとの向き

であるとのことがあり、また、なおかつ、彼女リサ・ランドールの手による、(絵画『雲海の上の旅人』を科学者が目指しての[崇高さ]とを結びつけている)引用元著作 Knocking on Heaven’s Door『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)が

人間のありよう(崇高さとはおよそ程遠いところにあるありよう)]
人間の辿る運命

を嘲笑うような[嗜虐的寓意]で満ち満ちていると申し述べられるようになっている著作であるとのことがある、遺憾ながら
[理の当然]
として申し述べられるところとしてある ――個人のせせこましい偏頗(へんぱ)な主観などとは一線を画したところで客観的かつ具体的にこれはこうでこうだと申し述べられるようになっている(出典呈示を第一義にしての本稿では無論、その論拠を事細かに挙げる)とのところとしてある―― からであり、そのことに注意を向けたかったからである(※)。

(※上にて引用元とした著作、 Knocking on Heaven’s Door『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)、同著にあってはその冒頭部より
September 10, 2008, marked the historic first trial run of the Large Hadron Collider (LHC). Although the name―Large Hadron Collider― is literal but uninspired, the same is not true for the science we expect it to achieve, which should prove spectacular. (表記英文引用部に対する訳として)「2008年9月10日、ラージ・ハドロン・コライダー(LHC)が歴史的始動を見た.[ラージ・ハドロン・コライダー]との名称は有り体に言ってインスピレーションを何ら与えぬとの平凡なものだが、私たちがそれ(LHC)に[証明すべきととらえている壮大なる挙]を託しているとの意では[科学(の進歩)]にとり同じくものことは真実とはならない(LHCは際立ってのインスピレーションを与えるものである)」
などとのことが書き記されている。
 そうもした書きようが目立ってもの冒頭部にてみとめられる著作ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアにおける表題、 [天国のドアをノックする]の由来についてリサ・ランドール女史は同じくもの著作の中で次のようなことを述べてもしている。
(以下、 Knocking on Heaven’s Doorにての CHAPTER FOUR LOOKING FOR ANSWERSより引用なすところとして)
I first heard the phrase “knockin”on heaven’s door”when listening to the Bob Dylan song at his 1987 concert with the Grateful Dead in Oakland, California. Needless to say, the title of my book is intended differently than the song’s lyrics, which I still hear Dylan and Jerry Garcia singing in my head. The phrase differs from its biblical origin as well, though my title does toy with this interpretation. In Matthew, the Bible says, “Ask, and it shall be given you; seek, and ye shall find; knock, and it shall be opened unto you: For every one that asketh receiveth; and he that seeketh findeth; and to him that knocketh it shall be opened. (以上原著表記に対して訳書『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)ハードカヴァー版[第四章]103ページにての表記を引くとして) Knocking on Heaven’s Door(天の扉を叩く)]――これが本書の原題だが、私が最初にこのフレーズを聞いたのは、一九八七年、カリフォルニア州オークランドでのグレイトフル・デッドとのコンサートで、ボブ・ディランが『天国への扉』を歌うのを聞いたときだった。いまでも私の頭の中ではディランとジェリー・ガルシアがこれを歌っているのが聞こえてくるけれど、いうまでもなく、私の本のタイトルは、この曲の歌詞とは意味が違っている。このフレーズは出典である聖書の一節とも違っているが、私のタイトルはこちらの意図を拝借したものだ。聖書の「マタイ伝」には、このように書かれている。「求めよ。さらば与えられん。尋ねよ、さらば見いださん。門を叩け、さらば聞かれん。すべて求むる者は得、たづねる者は見いだし、門を叩く者には開かれるるなり
(以上、引用部とした)
 といったところ、新約聖書のマタイ伝にあっての
[求めよ。さらば与えられん。尋ねよ、さらば見いださん。門を叩け、さらば聞かれん。すべて求むる者は得、たづねる者は見いだし、門を叩く者には開かれるるなり]
とのフレーズ、それが
[天国の門]・[天国への扉]・[天国への階梯](ステアウェイ・トゥ・ヘブン)
との兼ね合いでいかように嗜虐的なる別側面での意味( Double Meaning )と共にあるのか、そのことからして具体的典拠を挙げ連ねるとの式で遺漏無くも事細かに示そうというのが本稿の本義であるとここ脇に逸れての部にあって訴求しておきたいとの意図が筆者にはある)

当サイト内にあっての【各頁および各典拠への一覧方式遷移部】、及び、【PDF形式文書配布ページ】へのリンクを直下、設けておく

各頁および各典拠への一覧方式遷移部へは以下より


問題となる「予見的言及→実現」の体系についての[典拠紹介部]一覧呈示頁

PDF形式文書配布ページへは以下より


典拠解説媒体としての[一括PDF文書]の公開頁